[米を炊く 012] せきとさんの話

暮らしの中で淡々と繰り返している
「米を炊く」ということ。


私にとっては、当たり前のように
そこにある行為だけれど、
みんな、どんな風に、どんな時に、
米を炊いているのだろう。
そして、その周りにはどんな日々が
続いているのだろう。


身近な人たちに、
それぞれの「米を炊く」と、
その周りにある日々のことを聞きました。


今日は、
せきとさんから聞いたお話です。

せきとさん

鹿児島県出身、千葉県在住。空間デザインや設計の仕事をしている。友人の大工さんと一緒に建てた小さな家で一人暮らし。朝ごはんはだいたいお茶漬けと夕食の残り。今年は今のところとても機嫌が良い年らしいです。


せきとさんの米の炊き方
1. 米を研ぐ
2.30分浸水する
3.米の1㎝上くらいまで水を入れて鍋で炊く


 米はほぼ毎日炊いてるよ。米を研いだら30分くらい浸水して、鍋で炊く。以前使ってた炊飯器が壊れてからは鍋で炊いてる。無いなら無いで、どうにかなるね。水の量は適当なんだけど、米の1㎝くらい上まで入れるかな。強火にかけて、沸騰したら弱火にして10分待つ。10分後、蓋を開けてみてちょっと柔らかそうだったらあと1-2分待つ。ちょうどいい感じになったら火を止めて、10分くらい蒸らして終わり。
 毎晩お米を炊いて、夕食と翌日の朝食に食べてる。料理が上手というわけではないけど、自分の食べたいものを適量食べられるから、自炊は好き。

そんな環境

 両親は建築士でずっと忙しくしていたし、料理も好きじゃないみたいだったから、家庭の味っていうのはよくわからないんだよね。米だけは炊いてあって、おかずはだいたい買ってきたものだった。たまに父が何かつくってくれることはあったけど、「出来たては熱いな」と思うくらいで、特に嬉しくなることもなく(笑)母は美味しい惣菜やお店を見つけるのがすごく上手な人で、栄養のある美味しいものは食べさせて貰っていたと思う。そんな環境で育った僕が毎日自炊してるんだから、わかんないもんだよね。手料理を食べる機会は少なかったけど、夕食はほとんど家で一緒に食べてくれていたから食卓の思い出は結構あるし、恵まれていたなとも思うよ。料理をする時間を、仕事に打ち込んだり家族で話したりする時間に充てたかったのだろうなと今は理解できるし。


ちょうどよくて素敵

 今の家で生活しはじめて1年半くらい。大工をしている友人と一緒に建てた家で、小さいけど生活はしやすいよ。小さな家や店舗づくりを手伝うことが多くて、自分が家を持つとしたら小さくて住み良い空間をつくりたいなと思っていたんだよね。手頃な土地を購入して、自分の出来る範囲でぼちぼち整備したり、設計したりして楽しんでいたらコロナ禍になって。本当はもう少し先の予定だったんだけど、予想外に仕事が停滞して時間ができたから、友人と一緒につくりはじめたんだよね。当たり前だけど、自分で設計して自分で建てるからやり取りがスムーズで、思ったよりも早くできちゃった。今のところ不便は無いけど、これからの生活や仕事で見た景色によって空間の使い方にも少しずつ変化があると思う。自分にとっての住み良さをときどき確認していくのは大事かも。10年くらい前に買ったステンドグラスを台所の窓にはめたんだけど、光の入り方もちょうどよくて素敵なんだよね。だから、今は一番台所が気に入ってる。家の中で気に入っているところもどんどん変わっていくんだろうな。10年後にどこが気に入ってるのか、楽しみ。


すごい世界を生きている

 散歩中に見て気になったものは写真に撮るようになったんだよね。視覚から入る情報に敏感なのか、一度見た物が頭にこびりついてしんどい感覚があったんだけど、最近はそれが落ち着いてきて何気ない物をじっくり見る余裕が出てきた。仕事以外で写真を撮ることはほとんどなかったんだけど、生活を写真で切り取って見返す面白さにようやく気づいた。切り取ると周りが見えなくなって良くないなと思うこともあるし、よりじっくり見つめられて良いなと思うこともある。最近は、草花の写真ばっかり撮ってるよ。すごい形をしているよね。バランスも色使いも魅力的なものが多くて、夢中になる。植物が好きな人たちの気持ちが少しだけわかったような気もする。自分の手では生み出せないなと思うものが溢れていて、ショックも受けるけどそれ以上に嬉しさがこみ上げてくるね。すごい世界を生きているんだなと思う。やっぱり実物を見るのが良いけど、写真でもその時の高揚感は思い出せるなあ。

つながる米屋コメタク

「私たちの豊かさとは何か」という問いに対して、 「米を炊くこと」という仮説を立てて、 米を炊いています。 暮らしの中に「好き」と「隙」を増やしていきたいです。

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