[米を炊く 015] あさこさんの話

暮らしの中で淡々と繰り返している
「米を炊く」ということ。


私にとっては、当たり前のように
そこにある行為だけれど、
みんな、どんな風に、どんな時に、
米を炊いているのだろう。


そして、その周りにはどんな日々が
続いているのだろう。


身近な人たちに、
それぞれの「米を炊く」と、
その周りにある日々のことを聞きました。


今日は、
あさこさんから聞いたお話です。


あさこさん
青森県出身、北海道在住。さまざまな地で働き、暮らしてきた。元気がなくなると、生春巻きや餃子、海苔巻きなど、ちょんちょんっと何かを付けて食べるものを選びがちになるそう。たんぽぽの種のように綿毛がついていて、風に乗ってふわふわしている雰囲気の人。


あさこさんのお米の炊き方
1. お米を研ぐ
2. 玄米の場合は半日、白米の場合は30分から1時間浸水する。

3. ザルにあげて水を切る。

4. 圧力鍋に水を切ったお米と1合に対して180mlくらいの水を入れて炊く。

5. 圧力が抜けて栓が降りたらすぐに蓋を開ける。



 圧力鍋で米を炊き始めて1年が経った今も、まだ 水の量が迷子なの。 私はどちらかというと硬めの米が好きだから水を少なめすると硬くなりすぎて。いろいろなサイトで調べてそれ通りの分量でやっても上手くいかなくて。特に白米の炊き方が下手で、今は玄米の方が美味しく炊けている気がします。圧力鍋は、圧力が抜けてピンが下がりきらないと蓋を開けちゃいけないんだけどピンが下がりきったその瞬間に開けないと蒸されすぎてちょっとべちょってなっちゃうんだよね。炊飯器よりも早く炊けるんだけど、蓋を開けるまでつきっきりだから自分の心が元気な時にしか米は炊けない。軽はずみには炊けないよ、米は。


体の元気、心の元気

 米は、体の元気がなくても炊けるんだけど、心の元気がないと炊けない。ちょうど今、心の元気がないときだから米を炊いていない。でも、自炊をしないわけでは無くて。生春巻きや餃子、豚汁なんかをつくって食べてる。

今住んでいる地域は、空気がすごくカラッとしていて野菜もフルーツも魚も美味しい。特にトマトが本当に美味しくて、夏の間に貰ったトマトを冷凍しとくの。初めは、トマトを貰いすぎて処理もできなくてとりあえずそのまま冷凍したんだけど、冷凍することでコクが出てトマトソースにすると美味しくなるんだよね。ニンニクと塩をパラッと入れて、まるごと圧力鍋で炊くと美味しいトマトソースになる。


『美味しい』お米を食べたい人

 私はお米にそんなにこだわっていないんだけど、母はどんなにお金に苦しい時でも「美味しいお米を食べられなかったら気持ちまで貧しくなっちゃう」と言うくらい『美味しい』お米を食べたい人で。実家に帰ったとき、私にお米を持って帰らせようとした母から「ななつぼし※とおぼろづき※、どっちがいい?」と聞かれたから「どちらが好きか考えたこともないし、違いもわからないからどっちでもいいよ」と答えたら本当に驚いてた。母には自分なりの好みがしっかりあるようで、私にそれが無いことや自分が美味しいと思うものを選ぼうとしないことが信じられないみたいで。その様子を見たときに、母は値段とか一般的な評価ではなくて本当に自分にとって『美味しい』ものが好きなんだなと思った。私も美味しいものが好きだけど母と比べるとまだまだだな。

※どちらも北海道米の品種。


後悔しないご飯、後悔しない人付き合い

 最近「私は、どういう時に心が疲れるんだろう」っていうことをすごく考えるんだけど、人との関わりに閉塞感があると心が弱くなっている気がする。答えのない話をする時間が私には結構大事で、それができる相手や環境がないと疲れてしまうのかもしれない。一つの答えがない事柄について、人と話すことで自分のわからないことを解きほぐしていったりお互いに浮かんでいることをポロポロッと出してみたりすることが、今はあまりないんだよね。      

 まだまだ興味がある場所がいっぱいある。これまでは呼ばれた場所にいくという感じで道を選んできたんだけど、これからはもう少し自分の見たい世界や見たい風景を自覚的に選んで進んでいくんじゃないかと思いはじめていて。食べた後に後悔するご飯と後悔しないご飯があるじゃない?太っちゃうとか理屈ではなくて、お腹は満たされるけど後から虚しくなったり嫌な感じになるご飯とそうじゃないご飯がある。それは人も同じで、どんなに「すごいな」「惹かれるな」と思っても、会った後にこちらがどうも寂しい気持ちになったり卑屈になったりする人とそうじゃない人がいる。理屈で考えて「良い」方ではなくて、後悔しないご飯や後悔しない人付き合いを自覚的に選んでいきたいなと思うようになってきた。


つながる米屋コメタク

「私たちの豊かさとは何か」という問いに対して、 「米を炊くこと」という仮説を立てて、 米を炊いています。 暮らしの中に「好き」と「隙」を増やしていきたいです。

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