[米を炊く 017] さきこさんの話

暮らしの中で淡々と繰り返している
「米を炊く」ということ。


私にとっては、当たり前のように
そこにある行為だけれど、
みんな、どんな風に、どんな時に、
米を炊いているのだろう。


そして、その周りにはどんな日々が
続いているのだろう。


身近な人たちに、
それぞれの「米を炊く」と、
その周りにある日々のことを聞きました。


今日は、
さきこさんから聞いたお話です。

さきこさん
鹿児島県出身、在住。昔から在る生活や繋がりの中にほどよく新しい風が吹いている地域で、息子・夫・猫と供に暮らしている。家庭用の精米機を使って出た米糠はコンポストに入れたり、糠漬けをしている義母へ贈ったりするそう。つるんっとした柔らかさを感じる人。


さきこさんのお米の炊き方
1. お米を研ぐ。
2. 30分から1時間浸水する。(朝炊くときは前日の晩から浸水)

3. 浸水した水は捨て、新たに1合あたり200ccの水を入れて土鍋で炊く。


 産前産後の身動きがとれない時期に家まで配達してくれていたお店で、今もお米を買っています。白米か七分づきか玄米を買うんだけど、息子が玄米は好んで食べないので家庭用のちっちゃい精米機でガーッと胚芽米にしています。七分づきや胚芽米は人によっては好みでは無いかもしれないけど、滋味深くて私は好き。バタバタするからだいたい夜に炊いて、朝はときどき。毎朝3人分のお弁当をつくります。前の日にお弁当用のおにぎりをつくっておくこともあるし、作り置きのおかずを入れて、朝は卵焼きとソーセージを焼くぐらい。息子はお弁当が楽しみで、朝起きたらまずお弁当ができているかどうかを確認するの。できていると「今日は何?」みたいな感じですごい覗き込んで、「やった-」とか「これはちょっと…」とか感想をくれます。


家族みんながご機嫌さんで

 前の晩に炊いたお米を温めなおすときは、蒸す。私も息子も普通から硬めのお米が好き。特に息子は食べる事が大事な人で、べっちょりしたりおこげができたりすると嫌がるので、朝は時間が無いけど「加減は大事だぞ」と思いながらお米を炊いたり蒸したりしてる。実は一番の魂の仕事かもしれないね。1日を家族みんながご機嫌さんで過ごすための大事な儀式みたいな。
 今住んでいる地域は、海まで5歩ほどの海の淵みたいなところ。山もあるし、すごくきれいな棚田もあって、家族で食べる分のお米は自分でつくっている人も多い。息子が小学校に上がって送り迎えがはじまってからはやっていないんだけど、この地域に移り住んでから2年間は周りの人たちと一緒にほぼ無農薬でお米づくりをやってみたの。でも、まあ、大変で。地域の人たちも大変さをわかっているから田んぼをやっていると知るとすごく褒められて、距離もグッと縮まった気がする。


私たちの心も動き続けている

 日中は、畑をしたり星読みの学習をしたり。天気予報を見るみたいな感覚で星の配置図(ホロスコープ)を見て、自分の人生とどうシンクロしているのかを感じるのが日課。この地域に移り住んで、星への興味が深くなった。やっぱり星がたくさん見えるからなのかな。目で見えるって、感じられるってことだからすごく大事だよね。言葉の選び方が素敵な星読みの先生にも偶然出会って、ちょっと学んでみたいなって思ったの。人とのご縁も大事だね。それ以前に学んでいたことが一区切りついた中で、感情や心情の扱い方だけでは説明できない、何か「命の働き」みたいなものがあるなと感じていたのも影響していると思う。星読みを学んでみたら、自然界の移ろいが私たちの人生とシンクロしていることを強く感じて。海が月の満ち欠けによって引っ張られたり満ちたりするみたいに、私たちの心も動き続けているのが見えてきた。今もまだ学びが尽きなくてすごく楽しい。


尻尾をフリフリ

 散歩も日課。毎日、学校から帰ってきた息子と海沿いを20分くらい散歩してる。犬みたいに「散歩行こう!」って言われるの。 生き物が大好きな息子は、尻尾をフリフリするかのように棒を振り回しながら虫や魚を見つけて楽しんでる。散歩の後は晩ご飯をつくって、夫が帰ってきたら一緒に食べて、お風呂は近くの温泉へ。温泉では、地域の友達がいたらお喋りするけど、だいたいは一人でゆっくり。
 街の中心地に住んでいたときも、それはそれでいい環境だったと思う。いろんな人たちが集まって、みんなでご飯を食べたりワークショップをしたり。程よく公園 もあって、銀杏並木も見えて、すごく大事な大好きな生活だったんだけど、こっちに来てより自然に根ざした暮らしになれたかな。

つながる米屋コメタク

「私たちの豊かさとは何か」という問いに対して、 「米を炊くこと」という仮説を立てて、 米を炊いています。 暮らしの中に「好き」と「隙」を増やしていきたいです。

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